よく噛むことはよく生きること!
田沼敦子(たぬまあつこ)
歯学博士 千葉市「高浜デンタルクリニック院長」 健康咀嚼指導士・料理研究家 「噛むかむクッキング」を提唱し、「噛むこと、食べること、生きること」をテーマとした講演・執筆などでも活躍中
公式サイト http://tanuma-atsuko.com/
現代人は昔の人に比べ、食べ物を噛まなくなったといわれます。味付けの濃いせっかく良い食べ物を「噛まない習慣」は「さあ、噛みましょう!」と言ってもなかなか変わるものではありませんが、噛み応えのある食事で、噛む回数を増やすことは可能です。「噛むかむクッキング」は、食材の切り方や調理の方法を工夫して「噛み応え」をアップさせ、自然によく噛む習慣をつけてもらおうという、誰でも簡単にできるクッキング方法です。特に赤ちゃんから幼児期は食習慣の基礎ができる大切な時期です。お子様の健やかな成長のためにもぜひ、「噛むかむクッキング」を試してみてください。
よく噛む効果は、こんなにたくさん!
1.消化促進
よく噛むと、消化酵素の唾液アミラーゼがより多く分泌され、食物の細分化も進むため、消化されやすくなります。
2.虫歯予防
噛めば噛むほど、「唾液」がたくさん出てきますが、「唾液」は口の中を洗い流し、きれいにしてくれる働きがあります。また「唾液」は酸性に傾いた口の中を中和して、できかかった虫歯を再石灰化してエナメル質を修復する働きがあります。
3.肥満予防
よく噛むと脳の満腹中枢を刺激し、少ない量でも満腹感が味わえ、食べすぎを抑えることができます。
4.頭がよくなる
あごを動かし、口の中で食べ物を味わうと、三叉神経という神経が活発に働きます。この神経は頭がさえた状態になることに大きく関係しているといわれ、よく噛んで食べることは頭の回路を活性化する効果があります
噛むかむ度UP!噛むかむクッキングのポイント
ポイント1 噛み応えのある食材を使う
噛み応えのある食材をいつもの献立に加えるだけで「噛むかむ度」がアップします。トッピングとして使えるアーモンドやピーナッツなど硬い食材だけでなく、繊維質の多い野菜や弾力のあるこんにゃく、油揚げなども噛むかむ度が高い食材です。
ポイント2 食材を大きく切る
食材を大きく切ると「噛むかむ回数」がアップします。野菜は乱切り、肉なら厚切りにするなど工夫をしてみましょう。
ポイント3 加熱時間を工夫する
野菜は生で食べる方が「噛むかむ度」はアップしますが、かさばってしまって、お子様はたくさん食べることができません。そこで、炒めたり湯通しするなど加熱すれば、たくさんの量を食べることができ、「噛むかむ度」を維持することができます。
ポイント4 水分を少なくする
焼き物、炒め物など料理の水分を少なくすると飲み込みにくくなり、無意識に噛む回数を増やして唾液を出そうとするため、「噛むかむ度」がアップします。飲み物といっしょに食事をすると、流し込んでしまうことにつながるため、食べ物はよく噛んで唾液といっしょに飲み込み、そのあとで飲み物を飲むようにしましょう。
ポイント5 食材を組み合わせてみる
複数の食材を使った料理を食べると、食感や味に変化が出て、じっくりと味わうため、噛むかむ回数が自然にアップします。